2011年12月13日火曜日

銀の匙


灘高の生徒はこれを読んで、東大に入った。その国語教師は、有名な 橋本武先生だそうで。さすれば、これを読めば、頭良くなる?ってことはないでしょ、そもそも頭の出来が違うのだから。
ていっても、やっぱり読んでみたくなった。

大学に入ったとき、専門の勉強していて、たとえば建築家の若いころの話などを読んでいると、優秀な人は、中学高校から基礎教養として、こんなの読んでいたんだって、よく思った。
だから、このようなことを知ると、やっぱりチェックしないではいらられない。あっ、僕はのことより、息子が高校受験勉強中で、親に習って国語が苦手ときた。読んでくれたらなー、って思っていたら、案の定ってか、残念ながら、見向きもしなかったよ。トホホ・・

読んで見ると、子供の頃の情景が湧き出るようで、やはり、すばらしい文学作品なんだろうと思う。
子供のころの情景って、この話は、明治から大正の話でしょうって、言われるかもしれない。
でも、育ったのは、サザエさんほど大きくはないが畳のつなぎ間の家だし、父の実家は商家で、入ると黒々とした、大きな柱と大きな梁がある、大きな板の間があったりして。母方のの親戚に行っても、欄間のある畳のつなぎ間が基本だったもんね。
外で遊ぶにも、街中にも、大きな木造の寺や神社があってがあって、神社はもちろん、寺にも大きな木々が茂っていた。遊び場も、畑や田んぼの間をくぐって行ったり。そこには結構水路があって、たぶん田んぼや畑の用水用だったりしたんだろうけど、木っ端で作った船や葉っぱの船を流したりしてね。
なんだか空気自体に水蒸気感?見たいなのがあったな。レオナルド・ダビンチの空気遠近法じゃないけど、今の乾いて単調な空気でないような気がする。
そんな、雰囲気、情景が浮かんでくるようだった。
情景の話だけでないよ。主人公にも、僕の子供のころをダブらせてしまった。
主人公は、病気がちで、女の子と遊ぶような、ちょっと引っ込み思案って感じの子。僕もね、病気がちではないけど、めちゃくちゃ元気なほうでもない。年に1、2回は風邪を引いて、病院に連れられていた感じかな。
それと弱虫系だったしね。学校の、注射なんて怖いのなんのって。この主人公も、おばあちゃんに育てられていたけど、僕も母が働いていて、母の姉に住み込んでもらって、育てられた。おばあちゃん子みたいなもんだヨね。おばあちゃんに育てられると、そんな弱虫系、やさし系になっやうのかな?
井上靖の「しろばんば」に出てくる主人公の男の子も、そんな感じだった。ジャイアンみたいな、また運動神経抜群の活発な男の子に目が行くけど、子供の大半はどこか弱さをもってるのが普通なのかなって、いま、考えてみると思うね。
でも、こんな小説の子供は、大学、二十歳のころになると変身して、かっこよくなる。やっぱり、現実の自分とはちがうの・・?
とにかく、そんな感じで、子供のころの自分の体験した情景とダブって、小説の世界が脳裏にパーって広がるそんな小説でした。

ところで、国語苦手の息子の模擬試験を見ていたら、「銀の匙」が出ていた! 「それ言ったことか、読んでれば良かったのに」って言いたくなった。でも、我慢我慢だね。
自分で解いてみると、本を読んでいるためか、なんとなく前後のあらすじや全体の雰囲気がわかっていたので解きやすかった、ような・・。やっぱり読んでいると違うのかな?
それと、「この問題の文章の特徴は?」という問題で、「擬音・擬態語で情景を鮮やかに浮かびががらせている」が正解の選択問題があったのですが、これは間違った!
本の全体の感じは、そんな擬音が多い感じでもないような、でも、確かに情景は鮮やかに浮かび上がる。問題で選択された部分がそうなんですかね・・・やっぱり国語って難しい!!!
 

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