2009年12月21日月曜日

ちいさいおうち (大型絵本 (3))

著者 : ばーじにあ・りー・ばーとん

訳者 : いしい ももこ


整理番号 : 76

分類 : 文学・評論 | ヒロシの分類 : - ,小さな本LittleBooks/詩と小写真集 | amazonランキング:71981

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ヒロシの書評:
僕の心の中の本である。

子供のころ、読書と国語は大の苦手であった。
たぶん、小学校の低学年だったと思う。
学校の図書館で借りるとすれば、この「小さなおうち」と「機関車やえもん」だった。
高学年になっても、借りる本は、どうも決まっていて、伝記もの。
「ベーブルース」「ルー・ゲーリック」「チャーチル」「J.F.ケネディー」「王貞治」「長島茂雄」ってとこでした。
図書室に入って、すぐ左に並んでいたなー。
とにかく、読書苦手、少年でした。

で、低学年のお気に入りが、「小さなおうち」。

たしか、丘の上の、赤い屋根の、小さなおうち。挿絵には、横に木と、庭にはブランコが。小坂明子の歌っていた「あなた」の小さな家のイメージだよね。

でも、時代と共に、そんなのどかな街も、ビルに囲まれてしまう。
ビル陰で、日の入らなくなり、家も悲しんでいた。

ところが、この家は、郊外に引っ越して、
また、日の当たる丘の上に、住めることになった。
もちろん、住めるとは、人じゃなくて、この「小さなおうち」なんだけど。

思えば、僕の「いえ」のイメージとは、ここにあるのだと思う。
深層意識の中で、いまの職業を選んだ、原点かもしれない。

家とは、かっこいいとか、お金がかかっているとかじゃなくて、
日当たりにいい丘の上という、環境が、全てといってもいい。
そして、家という、取捨な、環境があればいい。

まあ、これが、僕の、建築家としての、弱点だろうけど。

それと、都市化の問題、町並み建築保存の問題、
長い時間生き延びる建築・住宅は、強度的性能じゃなくて、愛される美しい建築であること。
など、

作者のバージニア・リー・バートンさんは、40年も前に、現在も解決されぬ、
いや、いまだに、多くの人が、その価値に気づいていない、現在的問題を、
すでに、ここ、絵本で、教えてくれていた。

建築・都市を考える、僕のビギニングス。


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小さな家

著者 : ル・コルビュジェ

訳者 : 森田敏一


整理番号 : 75

分類 : 建築_作品 | ヒロシの分類 : - ,小さな本LittleBooks/詩と小写真集 | amazonランキング:22609

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ヒロシの書評:
数多くの著作を残したル・コルビジェであるが、意外と、この小さな本を支持する建築家が、多いのではないだろうか。
私の場合は、大学時代、夏休みに岩手県北上に帰省し、自動車教習所に通う、帰り道、牧子・平野建築研究所の「アルバイト募集」の張り紙を見て、アルバイトに飛び込んだ。
ここで、大学の教育とは、異なる、実務の勉強の第一歩を、教えていただいた。夜になると、飲み屋に誘っていただき、牧子氏と平野氏の建築談義を、拝聴した。
ま、僕も、世間知らずで、生意気だったので、こっちのつたない建築論もぶっていたように思う。
そんな、時代、牧子氏が推薦していた、本で、東京に戻り、購入したように覚えている。

母のためのレマン湖畔の小さな家である。写真と、コルビジェのコメント、コルビジェ独特のスケッチが、挿入されている。
自分も、一軒家を設計したら、こんな本に残しておきたいとも思った。
写真も、写真家の写真というよりも、コルビジェのスナップという雰囲気が漂う。
建築の内部空間の展開や建築のファサードの秀逸さを競う写真ではない。建築と周辺環境を意識させるカット。庭との関係を意識させるカット。
庭にある湖畔沿いの壁にあけた開口の横のテーブルと椅子のカット。これなどは、僕のお気に入り。白い箱をイメージさせる近代建築の巨匠の写真なのに、クリストファー・アレグザンダーのパターンランゲージの挿入写真をつい想像してしまう。
他には、屋上庭園の草だらけのカットや、排水溝の詳細写真。内部空間にしても、全貌のわかる写真は少ない。むしろ、トップライトや、開口部の部分的カット。
かっこいいデザイン・スタイルもいいが、まずはここから考えよう!って感じの、写真です。
そんな、完成写真の、原点は、これだ!って、言うように後段には、コルビジェのスケッチが載っている。

そこで、コルビジェの全8巻の作品集を見ると、第1巻の最初のほうで、見開きで、掲載されているだけである。
改めて、訳者 森田敏一氏の解説を読むと、1923年に建設され、本の発行は、30年後の1954年だそうである。
そうやって、改めて、後段のスケッチを見直すと、1945年のスケッチとあり、最後の母の顔のあるスケッチは1945年。母が91歳のスケッチだ。
ウーン、そうか。僕は、建築家には、設計の原点の作品があると思っている。数多くの、有名な大きな作品を生み出す、大建築家でも、なぜが、思考の原点とも言う、作品があるのだ。
たぶん、コルビジェにとっては、この小さな家が、彼の原点ではあるまいか。
明確なコンセプトが、そこに現れていないといえども、思考の始発がここにあったと、57歳の彼が、ひと時振り返った本ではなかろうか。


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小さな森の家-軽井沢山荘物語

著者 : 吉村 順三|さとう つねお

訳者 : -


整理番号 : 74

分類 : 建築_作品 | ヒロシの分類 : - ,小さな本LittleBooks/詩と小写真集 | amazonランキング:29197

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ヒロシの書評:
吉村順三って言ったら、まずは、この「軽井沢の山荘」でしょう。
この本、ル・コルビジェの「小さな家」のにおいがする。本の構成などを見ると、意識しているのは明らかだ。
「軽井沢の山荘」は、1962年竣工。この本の出版は、1996年、34年後です。
やっぱり、先生も自らの設計の原点を、この「小さな森の家」で確かめておきたかったのでしょうか?なんて考えるのです。

軽井沢の木々の空中にたたずむ、小さな家。雪の冬景色、新緑にたたずむ写真、暖炉のディティール、軽井沢の四季。ル・コルビジェの「小さな家」に比べると、本当に繊細な写真です。
解説も、外壁や、暖炉、暖房のディティール、増築の話など、細かく繊細に解説されていて、さすが吉村先生って感じです。

僕が、さらに注目したのは、最後の、吉村順三の手書きの設計図(原図)。実は、すごーく、ラフで、でも、勢いがある図面なのです。
フランク・ロイド・ライトが、彼の決定的代表作とも言える、落水荘。これは、クライアントが、訪れる数時間前に、大急ぎで書き上げてしまった、と、どこかで読んだ記憶がある。たぶん、全部頭に入っていて、一気に完成しているイメージをほとばしるように書いたんだなって、想像する。
戻って、この吉村順三の手書きの設計図(原図)を見ていると、ほんとに、完成したアイディアを、一気にほとばしるように書いたんだろうなって、思うような、勢いのある図面なのです。
その上、断面、開口寸法も、しっかり、書き込まれている。ディティール、立体の空間構成も、頭の中で、完成していたんだろうなって、思うのです。

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Ronchamp

著者 : Le Corbusier

訳者 : -


整理番号 : 73

分類 : 建築_作品 | ヒロシの分類 : - ,小さな本LittleBooks/詩と小写真集 | amazonランキング:10000000

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ヒロシの書評:
コルビジェによって、書かれた、ロンシャンの写真集。
This book,and its jacket,are designed by Corbuiser
Copyright 1957 by Verlng Gerd Hatje
Reprunt 1991

19cm×19cmの正方形で、ジャケットは、赤字に黒文字である。

これは、妻の父に、いただいたもの。定年後、ロンシャンを訪れた際、購入したようで、お土産としていただいた。

よく見ていると、コルビジェにより、デザインされた写真集だ。
単独の建築の写真集をコルビジェが作るのも、珍しいこと思うのだが、偶然手にしたこの本、コルビジェの第2の「小さな家」ではないかと思う。

「小さな家」同様の構成で、写真には、コルビジェの視点で捉えたであろう、アングル、ディティールなどふんだんに掲載され、正方形の紙面サイズに、写真のレイアウトが工夫されて掲載されている。
詩的メッセージが、挿入され、後段は、建設の様子、スケッチ、構造模型、図面も掲載されている。
詩的メッセージの一節、

The key is light
snd light illuminates shaps
and shaps have an emotional power.

By the play of proportions
by the play of relationships
unexpeted,amazing.
.....

どこか、ルイス・カーンの「Lighit is the theme」に掲載された、「Silence to Light/Light to Silence/......」を思い出してしまった。

「明るく健康的な白い箱」からの逸脱し、新たな地平を切り開いた、宣言文のようにも思える。
コルビジェは一度自分の確立した近代建築のスタイルを叩き潰し、もう一度新たなスタイルを築きあげたという点でも、まさに巨匠だ。
そんな彼の、第2の再出発の原点として、この本をデザインしたのでないかと、思うのである。
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