2010年1月11日月曜日

特集:建築ー現実と詩の架橋|ル・コルビュジェ|ミース|ライト(a+u 1981.1)

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訳者 : -


整理番号 : 153

分類 : 建築_作品   |  ヒロシの分類 : - ,- | amazonランキング:10000000

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ヒロシの書評:
-ル・コルビジェ、ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライトの現代建築3巨匠の特集である。
大学のとき、手っ取り早く3人が見れる作品集として、購入した記憶がある。
3巨匠の特集とはいえ、ル・コルビジェは、サヴォア邸のみを扱い、ルネ・フェラー氏の解説論文が付け加えれれている。フランク・ロイド・ライトは、内井昭蔵氏の住宅を中心とした関する解説、藤井克昌氏のタイセリアンの解説がある。

とはいえ、この本、実は、ミース・ファン・デル・ローエの紹介が、ほとんどを占める。そのページが160ページあまり、他の2巨匠はいずれも20-30ページである。ミース・ファン・デル・ローエの特集といってもよいであろう。
この時代、近代建築の均一性、単純性が、批判の的となり、おりしもポストモダニズムに大きく傾斜するまさにそのとき、ミース・ファン・デル・ローエは、過去の人と認識する建築かも多かったのではなかろうか。
ル・コルビジェ、フランク・ロイド・ライトは、巧みな形体操作や装飾性により、その批判をかわし、生き延びたともいえる。中で、ミース・ファン・デル・ローエは、I型鋼とガラスという、用途にかかわらない一貫したデザインが、また、誰でも安易に模倣可能(あくまだも「似て非なるもの」なのだと思うが・・)というデザインが、格好の標的であったことには、間違いでないと思う。
とはいえ、僕は、この「ミース・ファン・デル・ローエの特集」が、どうも気になり、というか、好きでよく見返し、本の背が黄ばんだしまっている。

ミース・ファン・デル・ローエの作品については、実施作品が全て、網羅されているといってもよい、と思う。
加えて、ミースの「AIAゴーオールド・メダル受賞記念講演」の論文と、改めて、ミースの価値を考えるべく、子弟たちの対談・論文が掲載されている。

ミースの僕のお気に入りといえば、IITクラウンホールだ。
このクラウンホールは、シンケルを髣髴とさせる古典的平面構成、ユニバーサル・スペースといいながらも、この建物の主要用途としての建築学科の製図室は、実は半地下のコンクリート製の基壇の中に埋め込まれている、など、批判の標的になったように記憶している。
しかし、このクラウンホールは、逆梁トラスによって生み出され、ユニバーサル・スペースと、規則的でかつ抑揚がある鉄骨柱とI型鋼マリオンとガラスによる立面によって、どこか魅了してやまない。
実際にアメリカ旅行で、見に行ったのであるが、「結晶のような」外観は、衝撃的で、今も心の中に残っている。

改めて、この作品集を見直すと、ミースを評価するに、アメリカ以降の鉄とガラスの建築より、ヨーロッパ時代のバルセロナ・パビリオン、チューゲントハット邸を、その妖艶なデザインから、新た待て評価する向きもあるであろうが、
アメリカ以降、完成時代順に並べた、ファンズワース邸→レイクショア・ドライブ・アパートメント→IITクラウンホール→シーグラム・ビル→ニュー・ナショナル・ギャラリー(ベルリン)に、私は心を引かれる。
「均一な退屈さ」の批判を一手に浴びるこの流れであるが、その一方で、この建築群には、素材の使い方、デザインのあり方に「言われなき質」(皮肉にもこの言葉は、クリストファー・アレキサンダーに夜が)が、組み込まれていると思うのである。
まさにミースの発見した「言われなき質」が、「ファンズワース邸→レイクショア・ドライブ・アパートメント→IITクラウンホール」で創生されてと思うのである。

書評というより、私のミース感となったが、ミースを概観するお手軽特集として、重宝させていただいた。
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