著者 : クロード・パラン
訳者 : 戸田 穣
整理番号 : 1021
分類 : 建築_評論 | ヒロシの分類 : - ,- | amazonランキング:309630
amazonで見る(右タイトルをクリック)) タイトル:斜めにのびる建築-クロード・パランの建築原理
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ヒロシの書評:
久しぶりに建築の本を読んだという感じ。
とはいえ、この本の原書は、1970年に書かれている。日本では、機能主義全盛。丹下健三が大阪万博でお祭り広場を作り、メタボリズムに代表されるように、若き建築家は、皆都市を論じ・空想的都市を描いていた時代である。(アレー、改めていま、メタボって書いてみると、変な感じ。おデブ?建築?じゃありませんー)
解説では、現在活躍しているコープ・ヒンメルブラウ、ダニエル・リベスキンド、ジャン・ヌーベルが、この著者の影響を受けたとのこと。前の二人はポストモダン以降の、デコンストラクションの範疇に属しそうだし、ジャン・ヌーベルにしても、機能主義には陥らない「ヌメッと感」のデザインは、「斜めの建築」というお題になんとなく、符合する。
私事ですが、3D設計から、垂直・水平でない曲体建築の可能性を、模索しているし、そんなことこら読んでんでみた。(いまや、3D設計ではなくBIM、曲体ではなくアルゴリスティック、パラメトリック・デザイン、などと歌われているので、もっとぶっちんでいるかもしれない。)
読んでみると、意外と機能主義的発想から、「斜めの建築」を提案しているのが、以外であった。
垂直水平システムに対し、「斜めの建築」の優位性は、①最短の移動距離②垂直・水平移動の移動スペースの無駄の解消、を主張する。
また、「垂直水平システムの空間が孤立をもたらすのに対し、斜めめの建築は交流をもたらす」と、社会的趨勢は「垂直水平システム」まっしぐらの中、批判的精神で、新しいシステムの構築をめざす、反骨の精神を感じた。
「垂直水平システム」を読むと、モシェ・サフディを連想してしまったが、そういえば、モシェ・サフディは、トンと忘れていたー。
資本主義・消費社会の中で、「垂直水平システム」は現在のところ圧倒的優位というところか。「垂直水平システム」のまったく単純なシステム。誰でもすぐに理解できる。つまり、この単純極まりないシステムは、グローバリズムと大衆性に合致している。さらに、「高さ」と「孤立した空間」が、個人の欲望を限りなく満足させる道具となる。「高さ」と「孤立した空間」は、顧客満足度NO1の空間の提供ということであろう。
実際、「斜めの建築」を実現しようとすると、空間の配置は、非常に複雑で・難しいものとなる。エレベーターなどの移動システムとの調整もはるかに難しい。部屋に対する視界や日照のコントロール・予測も難しい。
というわけで、モシェ・サフディのような建築もすっかり忘れ去られた。
しかし、PCぼ出現による革新がアルゴリスティック、パラメトリック・デザインを生み出そうとしているいま、難題を解決しつつ、「斜めの建築」が、かたちを変えて生まれる可能性もあるように感じる。
しかし、最大の敵は、資本主義・消費社会システム?なのかな??
・・
形態操作が選考していると思っていた、コープ・ヒンメルブラウ、ダニエル・リベスキンド、ジャン・ヌーベルが、こんな批判的精神の中から生まれたとは、納得できた部分でもある。
才能のあるなしは別にして、批判的精神が、このような建築家を生んだとは、少しばかり、勇気付けられた。
20010.3.22
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